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王余魚沢の先生はそう切り出して昔話を始める。
ずっとずっと昔。
まだ王様というものが、この王余魚沢にいたとき、その王様には専用の料理人がいました。
腕のいい料理人たちだったけれども少しだけ、狡いところがあったようです。
ところで皆さんは魚の鰈を食べるとき、白いほうから食べますか。黒いほうから食べますか。
ほぼ全員が黒いほうだと答える。
そう皆さんも知らず知らずにそうなのかもしれませんが、魚の鰈は皮の付いた黒いほうが味がいいんです。
その料理人たちはそれを知っていたんですね。でも王様に出す鰈の料理は白いほうを上にして出していたそうです。
誰かが、なんでっと声をあげた。
王様は上のほうだけ食べてあとは残していたそうです。
そして残った味のいいほうを料理人たちが食べていたということが繰り返されたのが今の王余魚沢の名前の由来に繋がったようです。
教室はしんと静まり返った。
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