学んでも

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字面から予想していた子もいたが、あまりに貧乏くさい話に誰も声が出せなかった。 王余魚沢の先生はやっぱりニコニコと笑っている。 「でもね。一番有力な由来の話はこれではないんです。これは私も聞きたかったんですが、皆さんは王余魚沢で洞穴を見たことがあるかな」 全員が首を横に振った。 「あれ。少し残念だな」 そう呟いて王余魚沢の先生はまた昔話を始める。 ここが王余魚沢と呼ばれる前、ここには一人の働き者の男性がいました。 その男性は白い犬を飼っており、大層可愛がったそうです。 だが、あるとき男性は体を壊して寝込んでしまいます。 そして段々と痩せていきました。 男性は可愛がっている犬に声をかけます。 「世話をしてやれなくてごめんな」 それを聞いた犬は何を思ったか外に走り出していったそうです。 男性は世話が出来なかったから怒って逃げたのかと思ったそうです。 しかし、犬は帰ってきました。
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