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しかも口には魚を食わえていました。
それは海の魚で山ではとれないものでした。
「どこから持ってきたんだ。だが、ありがたい。食わしてもらうよ」
そう言って男性はその魚を食べてしまいました。
それからも犬は毎日魚を食わえて持ってきます。
そうして男性は元気になりました。
それでも犬は魚を持ってきます。
あるとき、犬が魚を持ってきたときに一人の漁師が男性の家を訪れました。
「こんなところに持ってきていたのか……」
挨拶もなしにそう呟いた漁師に男性は何事かと訊ねました。
「いや。この犬が毎日魚をもらいに来るから何処に行くのかと気になってね。この山の奥の洞穴を着いてきてみたんだよ」
そう犬は男性のために洞穴を抜けて海と山とを行き来していたそうです。
男性は漁師に体を壊したから犬が魚を持ってきてくれたのだと説明しました。
そして、その海は深浦の海だという話です。
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