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「ごめんください」
ひでの大きな声が空に響いた。
突然に王余魚沢という田舎に引っ越してきたアイスクリーム屋。
その店構えは、隣の酒屋と大して変わらない間取りだが、品物が一つもなかった。
ひでの声が響いたあと、奥からおやまぁと三十代くらいの女性が現れた。
「次郎さんとこのひでくんじゃない。どうしたの」
ひでは元気よく百円を握り締めていた拳を突き出す。
「アイスくださいっ」
女性が困ったように笑う。
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