眠っても

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「通夜と葬式は明日からだから、お骨になるまでちゃんとさよならしてな」 母のいうお骨とは何なのかひでには判断がつかなかった。 更にひでの隣ののりは眠いのか、こくりこくりと首を縦に動かしていた。 なぜか、ひでも眠くなっていたがどこかで寝てはならないと耐えていた。 眠気覚ましに母に質問をする。 「お骨って何なの」 母がひでに作り物のような笑顔を見せる。 「お墓に入れるために体を焼いて骨だけにするんだよ」 「焼いちゃうのっ」 ひでが声をあげた。 「もう顔を見られなくなっちゃうじゃんっ」 母のふきの作り物の笑顔が困った顔へと変わる。 「それが死ぬということなんだよ。死んでしまったら体を燃やして煙に乗って天国に旅立ってもらうんだよ。大おばあちゃんが天国まで迷わないように行くためにちゃんと見送ってね」 「大おばあちゃん、天国に行くの」 ひでの問いに母はこくりと頷いた。 「これから、大おばあちゃんは天国で休むんだよ」
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