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父は素っ裸のひでを抱え上げて尻をぴしゃりとと打った。
痛さで目に涙を貯めて、ひでは何度もごめんなさいと叫ぶ。
その大声は満点の星空へとよく響いた。
子供の泣き声が空に響くのは王余魚沢にはよくあることである。
父はその謝罪を意にも介さないでまた尻をぴしゃりと打つ。
「痛いっ」
「反省したかっ」
荒々しい父の声がまた響く。
更にまた、ひでの痛いという声が空に響く。
父は加減というものを知らない。
ひでの大声に見かねた母がもういいだろうと風呂場の中からよく通る声で叫んだ。
「いいわけねぇだろっ」
父が叫び返し、ひでの頭をがっちりと抑えた。
「お前みてえな子はいらねぇよっ」
ひでの顔は涙で赤くなっている。
父は何を思ったか素っ裸のひでを肩に乗せて出入り口へと向かう。
徐に居間で様子を見ていた家族に言葉を投げる。
「捨ててくる」
途端にひでの顔は青ざめた。
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