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林道を抜けてりんご畑に着いた頃にはひでの覚悟は出来ていた。
ぐずってはいたが、ごめんなさいを言うのを諦め赤くなった頬に伝う涙を拭っていた。
それ程に父は頑固であり意志を曲げない人だとひでには思えていたからだ。
ひでの頭の中には熊や狼や蛇に食べられて短い五年の一生を終えるのだと、幼いながらに確かに感じていた。
案の定、父はひでを暗闇のりんご畑に置き、じゃあなと突き放し、もと来た道を帰っていった。
山の夜は夏でも冷える。
常識のある大人ならば幼子を山に置き去りにすることもないだろう。
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