食べられても

8/12
前へ
/223ページ
次へ
はくしょんと大きなくしゃみがでる。 風邪をひいても、もう医者にも行けない。 遠くで母の声によく似た声が響いた。 それに木霊するように父によく似たが響く。 ひではそっと目を閉じる。 風呂上がりの肌に草露は冷たかったが早く寝てしまいたいと横を向く。 そのとき、間近で声がした。 「バカやろうっ。死んだらどうするんだっ」 祖父が迎えに来たのだ。 祖父はひでを立たせて尻の埃を払うように叩く。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加