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重たい一撃が背中に突き刺さる。マジで、容赦がない、女子にズタボロにされたショックより、早く終わってくれというほうが強かったけれど、ここで負けを認めるほど、俺もヘタレになったつもりはない。やぶれかぶれに、痛む背中を強引に押し上げ、
「だらっっつしゃーー」
と、変なかけ声と共に手を振り上げた。こうすればひょっとこの仮面くらいずらせるだろろうと思ったのだーーーー。
「だが、しかし、ひょっとしてこんなんで勝てるとでもと、ひょっとこ仮面は言いました。ひょっとこだけに」
手が届く前に半歩、後退、難なく避けられた。
「だらっっつしゃーー、私の勝ちィィイィイイイ!!!!」
ガッツポーズと共に、変なかけ声を真似された。うわ、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけれど。
「だらっっつしゃーー、貴方は鼻血男ォォォォォオーーーーーー!!!!」
「やめてー、マジで、やめて、お願い。お願いだから、マジでやめて死ぬ、恥ずかしくて死んでしまうゥゥゥウウウーーーーー!!!!」
その場にうなだれながら、お願いした。もう、ほんとにお願い、やめて、
「やれやれ、男がそう簡単に頭をさげちゃいけんって言われませんでした?」
「だったら、真似するなよ!! つーか、ちょっと勢いで言っただけで特に意味なんてねーんだよ!!」
「だらっっつしゃーー」
ガッツポーズと共にひょっとこ仮面が叫ぶ。もう、何言っても逆効果だろ、これ。
「ああああああああああああああーーーーーやーめーてー!!!!」
頭を抱えてそこら辺をのたうち回った。もう、頭とか平気でかきむしれる。背中がめちゃくちゃ痒いの!!
「ふっ、やめてほしいですか?」
「ああ、本当にやめてほしい。恥ずかしくて窓から飛び降りそうなんだ」
「そうですか。自分が鼻血男ということを認めてください」
「嫌だ。つーか、そのあだ名、俺が広げたわけじゃっ」
ひょっとこ仮面が握り拳を作って振り上げた。くっ、認めるしかねーのか。いや、待て、
「そもそも、なんで、俺が鼻血男だって認めさせたいんだよ。なんの意味もねーだろ?」
「それは私が貴方と同類だからです」
「同類?」
昼間もにたようなこと言ってたな。
「一言で表すなら、貴方も私も奇人変人の類に入るってことですよ。いわゆる、世界のはみ出し者ついでに、言うと私が鼻血男のあだ名を定着させました」
「おまえかよ!! 迷惑って言葉をしらねーのか!!」
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