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「奇人変人は人に迷惑をかけることが仕事!! これは逃れられない運命!! さぁ、一緒にこの運命という荒波に揉まれようではないか、鼻血男君!!」
また、よくわからん。力説をする、ひょっとこと仮面。グッと握り拳を交えてめっちゃ偉そうだ。
「だから、鼻血男じゃねえって言ってるだろうが、同類って、その同類か、ふざけんな。そんなのに勝手に巻き込んでんじゃない」
俺はいたって普通な、平凡な学校生活を送れればよかったんだ。友達がいて、帰りに買い食いしたり、昼休みに席をくっつけて談笑したり、友達の部屋に泊まりに行ってみたり、こっそりビール飲んでたとか。そういう青春がしたいのだ。でも、この目の前にいるひょっとこ仮面と関わっている限り、その未来は永遠に訪れるようなことがない気がする。
「ふっ、そんなこと言っているのは今のうちですよ。貴方が鼻血男であることは、みんな、知ってます。もう、それを覆すことは不可能」
「できる。覆すことができるばずなんだ」
「どうやって?」
「…………」
どうやってって、あれこれ、すれば、どうにか。
「思いつかないんですよね」
「うるさい。今、考えてるんだよ」
でも、考えても、考えても、答えは出てこない。頭の中は消しゴムで消したように真っ白だった。妙案を、誰か妙案をください。
「無理でしょう。そもそも、自分の失態を即座に弁解できるほどのコミュニケーション能力があれば、そんなレッテルなんて簡単に笑い話に変えてしまって友達を作れているはずですからね」
「…………お前に何がわかるってんだよ」
図星だけどさぁ。そういうことができたら、食堂の隅っこでうどんを啜ったりしないっての!!
「わかりますよ。私だってそうですから」
「あ? どういうことだ?」
「実を言うと、私、仮面無しじゃ、喋れないほどの人見知りなんです」
「え? そうなの?」
「え? そうなんですか?」
「いや、あんたが言ったんじゃん」
「いえいえ、一種のボケですよ。もう、真面目に切り返さないでくださいよ。ここはガツンと、お前、人見知りって言ってたじゃん!! くらいの切り返しが欲しいですね」
「ですねじゃねーよ。お前が真面目に話したからだろ。嘘か? 嘘なのか?」
「さぁ? 嘘か、本当か。どちらでしょうね。それこそひょっとこのみが知る」
「それ。神のみぞ知るじゃねーの?」
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