鼻血男ですが、何か?

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「いいえ、ひょっとこ仮面の私のみしか知らないことです。それには神ですら介入できません。仮面のごとく覆い隠してしまうんです」 なんか、カッコつけて、ひょっとこ仮面が言った、いや、たぶん、神様だってそんなことに興味ねーと思うけど。 「あっそ。どうでもいいけど、もう、俺に構うなよ。お前と同類だなんてゴメンだね」 今まではノリと勢いで付き合いはしたが、こいつと関わっても何一つとしていいことなんてなさそうだ。むしろ、こいつと関われば関わるほどに、周りの自分に対する評価が悪くなっていきそうだ。それは是非とも避けなければいけない。夏までに、真っ当な友達を作ってやる。奇人変人だなんて思われたくない。 「本当に、それができればいいんですけどね。では、友達作り、頑張ってください。応援してますよ」 まるで、心の内でも見透かしたかのような台詞と共にひょっとこ仮面は、いつの間にか、姿を消していた。いったいどこにいってしまったのか、わからないまま、呆けていると、扉が開きポニーテールにちょっとキツい目つきの女の子が俺を見るなり口を開いた。 「ねぇ。君? さっきからひょっとこ、ひょっとこと叫び続けてたの」 やっぱり、教室の外まで届いていたか、後悔するより、キツい目つきに射抜かれて鯉のように口をパクパクさせて、言い訳を考えたが、上手い答えが出てこない。 彼女の視線が疑惑から確信に変わるのは時間の問題だろう。 「俺じゃない。つーか、俺がそんなことする奴に見えるか?」 「見える」 即答かよ。もっと、悩めよ。 「この教室にはあんた、一人しかいなかったし、廊下には誰もいなかった。だったらあんたしかいないでしょ? こんなのガキだってわかるでしょ」 その通りと言えば、その通りだ。まぁ、実際、俺も叫んでいたのに、あのひょっとこ仮面のせいにしようとしたのが、無理があった。自分の言い訳の下手さに思わず頭を抱えたくなっても、そんなことしている場合じゃない。 「誰もいなかったって、居ただろ。ひょっとこの仮面つーか、お面を被った奴がさ」 「はぁ? いなかったわよ。そんな奴、いたら気がつくでしょ。ところであんた。自分はやってないって嘘を吐くつもりならもっとマシな嘘を吐きなさいよ。なんなの、あれ」 グイッと親指を突き立て、ポニーテール少女は、黒板を指差した。そこには、クロスチョップだのなんだの書き殴られていまわけで、
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