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少女だとわかったのは、彼女が女子生徒の制服を着ていたこと、声が女の子だったこと、なぜ、ひょっとこのお面をしているかは理解のはんちゅうを、棒高跳びの勢いで跳んでいったためわからない。あまり、わかりたくもないし、もしかしたら、孤独に耐えかねた俺の妄想かとも思ったけれど、周りの連中がひょっとこ? なぜ? 鼻血男対ひょっとこ仮面? なんて呟いてるから妄想じゃない。そんなギャラリーさえ妄想だったら末期だ。病院に行くレベル。
「誰が、鼻血男だ。失礼だ」
「鼻血男に鼻血男と言ってなにがわるいんです? 貴方だって私のことひょっとこって呼んだじゃないですか。おあいこです」
それは、あんたがひょっとこのお面をしてるからだろう。つーか、うどんを啜ってる時に表れるな、鼻から飛び出すかもしんねーだろうが。
「おあいこですって、あんたがひょっとこのお面してるからだろ?」
「ひょっとこを、笑うとひょっとこに泣くことになりますよ?」
「それ、一円を笑うと一円に泣く、つーか、ひょっとこに泣く展開が理解できないんだが。つーか、お面、取れよ」
「ひょっとこパンチ!!」
なんのためらいもなく、ひょっとこ少女の右ストレートが俺の顔に激突する。ひょっとこパンチって、単なるパンチじゃん。つーか、痛いんだけど。
「わかりましたか? ひょっとこをバカにしたから、貴方は涙目になってるんです。ほら、泣いた。泣きましたよ」
間違えたのが恥ずかしかったのか。プルプルと肩が震えていた。ひょっとこ関係ないし。
「笑うっつーか、バカにし……あ、ごめんなさい。だから、無言でグーパンチを構えるのはやめて」
「ひょっとこをバカにする奴はひょっとこに泣くんです」
「そーですね」
ちゃっかり言い直してるし。なんで、俺は殴られた?
「笑って?」
「いいとも!!」
「あしーたは?」
「あるーさ」
「若ーい。僕には?」
「夢があるー!!」
「いつーか、きっと?」
「いつーか、きっと!!」
「「わかーってくれるだろう!!」」
「って、何をやらせてんだよ。明日があるさって、渋すぎる!! なぜに、いいとも!!」
「ノリノリだったので、悪乗りしました。反省してませんし、後悔もしてまん」
「反省と後悔は大切だとおもいますがっ!?」
「時間は待ってくれない。走り出すんだ!!」
「無駄にかっこいい!! でも、意味わからん」
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