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俺のツッコミが適当にスルーされ、
「「ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!ひょっとこ!!」」
放課後の教室にひょっとこのかけ声が響く、やると言ってしまっため引くに引けずにやってしまったゲームだが、あまりのアホさにやる気がどんどん下がっていく。こういう場合、楽しくなってきたみたいな展開があるんじゃないのかよ。やる気が下がっていく理由の一つに、目の前のひょっとこ仮面のせいだろうな。
「ひょっとこ?」
ひょっとこと叫び続けなければならないため物陰に隠れたりできない変わりに、さっきから両手を左右に広げてチョロチョロと机の間をすばしっこく駆け回りながら、時々、立ち止まって挑発するように身体を左右に揺らしやがる。ひょっとこの仮面と合わさってなんかもう、バカらしさとアホらしさで胸焼けしそう。あと、さっきのひょっとこって、どうしたんですかみたいな言い方がむかついてた頃、カンカンカンと、何かがこすれる音が響いた。
『どうしました? 鼻血男さん。ギブアップですが?』
器用に、ひょっとこと叫び続けながら背後の黒板にチョークで書いていた。背中を向けるような真似をしていないのがさらにすごい、感心している場合でもないけれど、正直、もう息が続かない、ひょっとこと叫び続けるのは思いのほか疲れる。だが、両手でバッテンを作った。
『クロスチョップ?』
違うわっと叫びたくなる気持ちを抑えて、俺は黒板に駆け寄って、チョークを握り、力一杯、書き殴った。
『クロスチョップじゃねぇ!! 降参ひねーって意味だ!!』
って、書き殴るより、仮面を取りにいけばよかったと思った時には、ひょっとこ仮面は俺の後ろにいた。両手をバッテンにして、嫌な予感がした。
「ひょっとこチョップ!!」
そのまま振り抜き、俺の顔面を殴打、地味に痛い。
「って、ひょっとこチョップって言ってんじゃん!! ルール守れよ!!」
「そういう貴方こそ、ルールを守ってください。ひょっとこキック!!」
勢いよく脛を蹴り上げられ、その痛さにしゃがみこんだ隙を、
「ひょっとこ肘打ち!!」
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