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「ああ、……栄太、戻っていたか」
佐世は、表情を明るくしようとしていたが、眉根のあたりに残った力みが反発して、曇りは拭いきれていない。
「つい先ほど、戻ってまいりました。佐世さんは、ここで何を」
「軍資金を集めるために這いずりまわっているのだ」
「軍資金?」
佐世は声を低くしていう。
「銃と弾薬を購って、幕臣を襲撃する」
「相手は……?」
「老中、間部詮勝!」
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