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栄太郎は、このときになって、糸八が言っていたように、松陰の倒幕が本格的に実行されつつあることを知った。
伏見の牢獄襲撃も、間部詮勝(まなべ あきかつ)要撃も、紛うことことき倒幕活動!
「その赤禰さん、どのような手紙が来たのですか?」
「長井殿が」と入江がこたえる。
「京の状況を確認している。そして、長州に一度戻り、井伊の弾圧の状況を藩に報告する、とのことらしい」
「長州藩のこれからの方向が長井の報告によって決まる。しかし、長井は言葉が巧みだが、その性根は疑わしいところがある。そこで入江君、栄太、もし、長井が奸佞(かんねい)であれば……! 長井を斬る覚悟はあるか!」
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