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そのように確固たる理想を持ち、熱烈に求めていただけに語気は荒く、論は激しくなる。
入江九一は、その凄まじさに圧倒され言葉を失う。
身分は、栄太郎と同じく中間。そして温厚な性格のために、藩の重役を”斬る”とは、断言しかねていた。
だが、栄太郎は違った。
「……長井殿が佞人であれば、吉田栄太郎が斬って見せます」
しかし、とつけ加える。
「それと同じ覚悟で、先生の軽挙に反対します!」
栄太郎の言葉は力強い。一瞬驚きを表情にあらわした松陰だったが、すぐに厳しい顔つきに戻った。
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