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「ああ、誰にも言わぬ。商人になるのは、世が落ち着いてからにするか」
栄太郎は、そういって笑い、平八のもとを去った。
なによりも、
(平八も、俺が長州人だと見抜けなかったか!)ということが満足だった。
今でこそ、生糸で商いをする平八だが、ただ者ではない。まず、剣術を習っている。さらに教養もある。清河八郎、さらには、栄太郎の師吉田松陰とも面識があった。
それほどの人物なのに、栄太郎が旗本の中間であることを疑わなかった。
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