安政の条約

4/11
前へ
/31ページ
次へ
  「ああ、誰にも言わぬ。商人になるのは、世が落ち着いてからにするか」  栄太郎は、そういって笑い、平八のもとを去った。  なによりも、 (平八も、俺が長州人だと見抜けなかったか!)ということが満足だった。  今でこそ、生糸で商いをする平八だが、ただ者ではない。まず、剣術を習っている。さらに教養もある。清河八郎、さらには、栄太郎の師吉田松陰とも面識があった。  それほどの人物なのに、栄太郎が旗本の中間であることを疑わなかった。  
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加