94人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
確かその日は雨で…。
電車は俺と日高が乗る時には、ギュウギュウで、それでも無理やり乗った。
俺も日高から離れてしまって…。
前にいた女の子が、真っ赤な顔をしてて、暑いのかなって気にしてたら、後ろのオッサンがニヤニヤしてたから、これはって思って…。
思い切って、肩を抱いて、俺と入れ替わったんだ!
俺の腕の中にスッポリ入ってた…あの時の子か!
「思い出した!」
急に声を出したから、皆が俺を見た。
「今さらかいっ。」
直也先輩に言われたが、その時は、まさか同い年とは思ってなくて…。
「あの時はありがとう。恥ずかしくて、ずっとお礼が言えなかったの。ごめんなさい。」
「あぁ、別に。」
照れくさくて、うつむくと、千晃は俺の手を掴んだ。
驚いて顔を上げると、千晃は笑顔で少し頬を赤くしていた。
「改めて…ありがとう。」
そう言って、下唇を軽く噛んで笑った。
その顔は、本当に天使のようで…。
俺は、つないだ手に力を入れて、千晃の顔を真っ直ぐ見た。
「千晃、俺も改めて…。」
「なに?」
頬を赤くしたまま、千晃も真っ直ぐ俺を見てる。
「俺の彼女になってくれる?」
今度は、千晃が驚いた顔をした後、満面の笑みで…
「うん!彼女になりたい。」
そう言って、抱き付いてきた。
「好きだ。」
千晃の耳元でそう呟くと。
「秀太、大好き。」
千晃の声が耳元で聞こえた。
俺…すっげぇ幸せ!
最初のコメントを投稿しよう!