第19話

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確かその日は雨で…。 電車は俺と日高が乗る時には、ギュウギュウで、それでも無理やり乗った。 俺も日高から離れてしまって…。 前にいた女の子が、真っ赤な顔をしてて、暑いのかなって気にしてたら、後ろのオッサンがニヤニヤしてたから、これはって思って…。 思い切って、肩を抱いて、俺と入れ替わったんだ! 俺の腕の中にスッポリ入ってた…あの時の子か! 「思い出した!」 急に声を出したから、皆が俺を見た。 「今さらかいっ。」 直也先輩に言われたが、その時は、まさか同い年とは思ってなくて…。 「あの時はありがとう。恥ずかしくて、ずっとお礼が言えなかったの。ごめんなさい。」 「あぁ、別に。」 照れくさくて、うつむくと、千晃は俺の手を掴んだ。 驚いて顔を上げると、千晃は笑顔で少し頬を赤くしていた。 「改めて…ありがとう。」 そう言って、下唇を軽く噛んで笑った。 その顔は、本当に天使のようで…。 俺は、つないだ手に力を入れて、千晃の顔を真っ直ぐ見た。 「千晃、俺も改めて…。」 「なに?」 頬を赤くしたまま、千晃も真っ直ぐ俺を見てる。 「俺の彼女になってくれる?」 今度は、千晃が驚いた顔をした後、満面の笑みで… 「うん!彼女になりたい。」 そう言って、抱き付いてきた。 「好きだ。」 千晃の耳元でそう呟くと。 「秀太、大好き。」 千晃の声が耳元で聞こえた。 俺…すっげぇ幸せ!
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