第19話

5/7
94人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
屋上に着いて、とりあえずご飯を食べ始めた。 そのうちに千晃も戻ってきて、微妙な空気のまま、皆無言で食べていた。 「さて、食べ終わったねぇ。」 直也先輩はもともと食べて無いだろっていうツッコミは誰もせず、千晃と俺を皆が見ていた。 「千晃はいつから、秀太の事好きだったの?」 西島が優しい声で聞いた。 「えっと~。」 あごに人差し指をくっつけながら、顔を赤らめ話し始めた。 「入試の日にね…。」 入試の日??千晃に会ったかな? そんな事を思いながら、千晃の話に皆が耳を傾けた。 入試の日の朝、電車がすごく混んでいて、宇野ちゃんと西島とはぐれてしまった千晃は、1人で電車に乗っていたら、痴漢にあってしまったと。 「その時、秀太が助けてくれたの。」 「うわっ、秀太、いっけめーん!」 日高のチャチャが入る。 「黙れ日高!」 真司郎が日高の口を手でふさいだ。 「少女漫画みたいよねっ。憧れるよねっ。」 少し興奮気味な宇野ちゃんがそう言うが、西島が本気で怒る。 「ダメでしょー!痴漢とか、絶対ダメ!」 「うん、うん、そうだよね。」 かなり興奮気味の西島を宇野ちゃんがなだめる。 「今度は、にっしーがうるさい!」 真司郎のツッコミに千晃が笑う。 そんなやり取りを見ながら、入試の日を思い出していた。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!