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屋上に着いて、とりあえずご飯を食べ始めた。
そのうちに千晃も戻ってきて、微妙な空気のまま、皆無言で食べていた。
「さて、食べ終わったねぇ。」
直也先輩はもともと食べて無いだろっていうツッコミは誰もせず、千晃と俺を皆が見ていた。
「千晃はいつから、秀太の事好きだったの?」
西島が優しい声で聞いた。
「えっと~。」
あごに人差し指をくっつけながら、顔を赤らめ話し始めた。
「入試の日にね…。」
入試の日??千晃に会ったかな?
そんな事を思いながら、千晃の話に皆が耳を傾けた。
入試の日の朝、電車がすごく混んでいて、宇野ちゃんと西島とはぐれてしまった千晃は、1人で電車に乗っていたら、痴漢にあってしまったと。
「その時、秀太が助けてくれたの。」
「うわっ、秀太、いっけめーん!」
日高のチャチャが入る。
「黙れ日高!」
真司郎が日高の口を手でふさいだ。
「少女漫画みたいよねっ。憧れるよねっ。」
少し興奮気味な宇野ちゃんがそう言うが、西島が本気で怒る。
「ダメでしょー!痴漢とか、絶対ダメ!」
「うん、うん、そうだよね。」
かなり興奮気味の西島を宇野ちゃんがなだめる。
「今度は、にっしーがうるさい!」
真司郎のツッコミに千晃が笑う。
そんなやり取りを見ながら、入試の日を思い出していた。
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