第1話

4/7
前へ
/120ページ
次へ
「何それ!面白そ~!!」 情けない声を聞いて、何故かテンションが上がる。 「見たい見たい~!」 「秀太、ムカつく。」 伏せたままで、不機嫌そうな千晃の声。 おもしれ~!! 見てやろうかと、席を立とうとしたら、先生が入ってきた。 いつの間にか、チャイムが鳴っていたようだった。 「やべっ。宇野ちゃん、クラス行くぞ!」 「うん。じゃ、二人とも!千晃イジメないでよ!」 そう言いながら、慌てて2人は出て行った。 先生が話し始めても、千晃は伏せたまま。 そういえば、千晃のスッピン、見たこと無いな。いつも、つけまつげ付けてるって言ってたし。 面倒だな、女って。 宇野ちゃんも付けてるのか? わかんねぇな。 なんて考えてたら、授業が始まってた。 アイツどうすんだ…? 気になって見ていたら、教科書と一緒にタオルを出して、顔に当てながら、話を聞いてる。 そんなに見せたくないんだ……。 ぜってぇ、見てぇ。 背中に消しゴムを当ててもシカト。 鉛筆でつついてもシカト。 ムカつく! 「オイ!秀太。後で宇野ちゃんに怒られんぞ。」 日高の小声の忠告が耳に入る。 「あ。それはイヤ。」 休み時間まで我慢するか。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

94人が本棚に入れています
本棚に追加