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2013年 8月13日
【峰村隼人・2】
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──頭が、割れそうなほど痛い。
こめかみのあたりがズクズクと疼くのにじっと耐えながら、隼人は混乱する頭で考えていた。
酔って、いつのまにか昏倒していたらしい。
目を覚ませば、そこには紅美がいた。貴志家の娘だ。
3年前に、人型をとった蜘蛛のような化け物に犯されて以来、紅美は人目を避け家の奥でひっそりと暮らしているはずだった。
その彼女にどうして酒を口にしたのかと問われ、ヒヤリと肝が冷えた。
いつもの自分なら、こんな大事な日に酒など一滴も口にしようとは思わない。
昔からの馴染みである紅美はそれを知っている。
精神的に参っていたと答えた。それは、間違っていない。
素面で、司祭など勤められるとは思わなかった。
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