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うーん、チキンの肉汁がじわっと広がって風味豊かなバジルの香りが…
「お、チキンバーガーじゃん!」
隣に座って声を掛けて来たのは、俺と同じシフトの俊介。
「チキン!?これはチキンチキンバーガーなんだぞ!略すな!」
近頃の若者は何でも略したがるからけしからん!と怒るが…
「俺は新記録狙ってるから、チーズバーガーセットだけど?」
なっなぬう!?そうか、チーズバーガーという手もあったのか?
くそぅ~
「て言うかお前、次のバイトいつだっけ?」
「えーと…」
スマホのビデオを一旦切って、スケジュールのアプリを開く。
「ん。明後日かな。」
明後日は新作の発売日だったが、金が無いと何も出来ない…仕方なくバイトに行く日になる。
「こないだ仕事したのに、すぐシフトかよ!面倒だな…」
文句を言いながら、ポテトを食らう。あー…美味しい…
「お前は単に休み過ぎ!」
隣の俊介は呆れ笑を浮かべた。
まぁそりゃそうだ。
普通の人の四分の一しかシフトをいれてないから…
「今度の新作何だっけ?」
俺がちゅうちゅうと口を窄めてストローからアイスコーヒーを飲んでいると、俊介はつまらなさそうに言った。
今度の新作は…
ラムチョップ肉に鴨のステーキ肉にイベリコ豚のロース、松坂牛のハンバーグに名古屋コーチンの目玉焼きに生乳100パーセントのガチョガヴァロチーズ…
「全部お前の食べてみたいやつだろ!」
怒られても懲りないのが俺。
フォアグラのステーキに黒白トリュフソースがかかってて、
「誰が食うんだ?絶対高すぎる!」
そりゃあそうさ、俺が付けた名前を見てないからな!
「聞きたくないけど…名前は?」
「無茶苦茶高すぎて食べられ無くなるせっかくの贅沢バーガーなのに捨てられる指数半端無いヤバ過ぎバーガーvol.1」
「長え!めっちゃ長え!注文しにくい!しかもvol.1って2もあるのか!?」
「お値段ポッキリ80万円!」
「名前だけじゃなくて値段も高え!」
「今ならジャパネット勇太がお持ちして89万円!」
「設置費高え!まさかのハンバーガーに9万もする設置費聞いた事ねぇ!」
「これが食えてこそ、真の勇者…」
「何かよくわからないけどカッコ良い!すげーカッコ良い!」
「「な訳あるかい!!!」」
以上、さりげないハンバーガー漫才でした。
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