第1話

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うーん、チキンの肉汁がじわっと広がって風味豊かなバジルの香りが… 「お、チキンバーガーじゃん!」 隣に座って声を掛けて来たのは、俺と同じシフトの俊介。 「チキン!?これはチキンチキンバーガーなんだぞ!略すな!」 近頃の若者は何でも略したがるからけしからん!と怒るが… 「俺は新記録狙ってるから、チーズバーガーセットだけど?」 なっなぬう!?そうか、チーズバーガーという手もあったのか? くそぅ~ 「て言うかお前、次のバイトいつだっけ?」 「えーと…」 スマホのビデオを一旦切って、スケジュールのアプリを開く。 「ん。明後日かな。」 明後日は新作の発売日だったが、金が無いと何も出来ない…仕方なくバイトに行く日になる。 「こないだ仕事したのに、すぐシフトかよ!面倒だな…」 文句を言いながら、ポテトを食らう。あー…美味しい… 「お前は単に休み過ぎ!」 隣の俊介は呆れ笑を浮かべた。 まぁそりゃそうだ。 普通の人の四分の一しかシフトをいれてないから… 「今度の新作何だっけ?」 俺がちゅうちゅうと口を窄めてストローからアイスコーヒーを飲んでいると、俊介はつまらなさそうに言った。 今度の新作は… ラムチョップ肉に鴨のステーキ肉にイベリコ豚のロース、松坂牛のハンバーグに名古屋コーチンの目玉焼きに生乳100パーセントのガチョガヴァロチーズ… 「全部お前の食べてみたいやつだろ!」 怒られても懲りないのが俺。 フォアグラのステーキに黒白トリュフソースがかかってて、 「誰が食うんだ?絶対高すぎる!」 そりゃあそうさ、俺が付けた名前を見てないからな! 「聞きたくないけど…名前は?」 「無茶苦茶高すぎて食べられ無くなるせっかくの贅沢バーガーなのに捨てられる指数半端無いヤバ過ぎバーガーvol.1」 「長え!めっちゃ長え!注文しにくい!しかもvol.1って2もあるのか!?」 「お値段ポッキリ80万円!」 「名前だけじゃなくて値段も高え!」 「今ならジャパネット勇太がお持ちして89万円!」 「設置費高え!まさかのハンバーガーに9万もする設置費聞いた事ねぇ!」 「これが食えてこそ、真の勇者…」 「何かよくわからないけどカッコ良い!すげーカッコ良い!」 「「な訳あるかい!!!」」 以上、さりげないハンバーガー漫才でした。
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