旅の始まり

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澪野山まではかなりの険しい道のりが待っていた。 途中道なき道を杖を付き、歩いていく。 「…真火さん、大丈夫ですか…っ?」 ゼイゼイと呼吸を整え信爾が訊いた。 すると真火は目を見開いて、 「ええっ、大丈夫です!このくらい…平気っ」 言った瞬間、草履の鼻緒が切れ、前につんのめる格好になる。 「真火さんっ!」 咄嗟に抱き留めると、市女笠から垂れる麻布から、真火の白い顔が覗いた。 「信爾、真火殿を連れて近くで休むと良い。私と悠羅は先の道を切り開いておく」 「ありがとうございます、兄上」 「真火様、替えの草履です」 悠羅が笑顔で真火に草履を渡した。 その顔に、真火に笑みが戻った。 (…とても頑張っていたんだな…) 気づかなかった自分が歯痒い。 手を添えて近くの岩に真火を座らせた。 「…すみません、真火さん」 「えっ…信爾さま!?」 真火の前に跪き、草履を外し脚絆を脱がせた。 白い華奢な足は赤く痕が残り、僅かに血を滲ませていた。 「こんなになるまで…」
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