旅の始まり

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「…信、爾…さま」 真火の瞳が潤む。 離れた唇に、まだ熱が残る。 「すみません…いきなり」 「いえ…いいえ、あの…嬉しかった、です」 言う真火の頬がみるみる紅く染まっていく。 「好きです、真火さん」 信爾が言うと、返事のように真火がゆっくりと胸に手を添え身体を預けた。 その様子を、木の枝に腰掛けた珀露がつまらなそうに眺めていた。 「ばーか」
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