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「…ふぅ」
やっと人の歩いた道に出た頼爾と悠羅は岩に腰掛け、一休みしていた。
「信爾さまと真火さま、上手くいってますかね」
悠羅が脚絆を穿き直しながら、楽しそうに言う。
「…あの信爾だからな、何もなくても驚かないが」
「あれから二年ですからねー。こっちの方が焦れちゃいますよ」
クスクスと笑う悠羅を見て、頼爾も優しく微笑んだ。
その時ひゅう、と風が吹いた。
瞬間、頼爾と悠羅の顔に緊張が走る。
「…嫌な風だな」
「水…あと、微かに血の匂い」
「……長い旅になりそうだな…」
「…はい」
悠羅が頼爾の背にそっと寄り添う。
ゆっくりと開けた目には、強い意思の光。
「…護ってみせます。必ず、何があっても」
「……ああ。私もお前を護ろう。必ずな」
その背の温もりに、悠羅は安堵したように微笑んだ。
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