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「初めは紅も警戒していましたが、次第に打ち解け…ご飯も食べるようになって」
璃胡の顔が綻ぶ。その優しい表情は、見た者を捕らえて離さない魅力がある。
頼爾や真火、朋成までもが見惚れ、小さなため息を漏らした。
「…けれど、紅は水を怖がるようなんです」
「水を…?」
「雨や滝、飲み水まで…。そうやって怖がるときに、目の色に赤が混ざるんです」
頼爾は眉間に皺を寄せ、考えていた。
そしてちら、と悠羅に目配せすると、悠羅も神妙な面持ちで頷いた。
「…この辺り一帯を散策してきてもよろしいですか」
「ええ。もちろん…」
璃胡の返事を聞くと、頼爾と悠羅は颯爽と部屋から出て行った。
残された信爾と真火は、お互い顔を見合わせた。
「…真火さん、でしたよね?」
「ひゃいっ!?」
急に璃胡に声を掛けられ、真火の身体がびくっと跳ねた。
「女の方のお客様は久しくて…私の部屋にいらっしゃいませんか?」
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