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煙を風が浚ったあと、現れたのは獣ではなかった。
「!頼爾さま…」
「驚いたな…まさかこんな事になっているとはな」
地面に倒れているのは、全裸の少年。
白い肌に所々焦げた跡。
俯せのその姿から顔は見えない。
頼爾はそっと少年に近づき、肩に手を乗せた。
小さく呼吸する少年は、憔悴していた。
「……珀露」
ピュイッと指笛を鳴らすと、間もなく大きな羽音と共に不機嫌そうな珀露が現れた。
「…何。てか僕の主じゃないくせに何なの」
「兄弟の式神だろ、気にするな。…この子を治せるか?」
「勿論。…僕に恩を売ると後悔するかもよ?」
ふふんと笑う珀露の肩をぐいと寄せ、耳許で
「…穢されたければいつでも来い」
「!!…ふん!」
どん、と頼爾の肩を押し、珀露は少年の側に寄り添った。
少年の肩に手を当てると、珀露の身体が淡く光る。
それに反応するように少年の身体もじんわりと光っていく。
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