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ぶるっと紅の身体が震えた。呼吸が荒くなり、袖を掴む力も強くなっていく。
「…紅。落ち着くんだ」
「気づいたら…血がたくさん…!」
目を見開いた紅の手が頼爾の肩を掴む。
「っ!」
紅の爪は伸びて来ていた。獣の爪だ。
「たすけて…!ぼく、また誰かを殺してしまう…!!」
「頼爾さま!」
心配した悠羅が駆け寄った。
「…大丈夫だ、悠羅」
振り返った頼爾の腕には小さな白い狼が安らかな寝息を立てていた。
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