波乱
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胸騒ぎがして母屋に向かった。 自分が今走る足が、夢の中のように現実味がない。 さっきまで聴こえていた虫の声すらしない。 ガラリと開けた襖の先には、少し乱れた布団しかない。 足元から全てが崩れ落ちる感覚がした。 「誰か…っ、ま、真火さん…!!」 発した声はくぐもっていた。 身体が自然と床へと沈む。 堕ちていく視界の端で、先ほどまであったはずの月がなくなっているのを見た――
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