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「なに?いいじゃないちょっとなんだし…旅の支障にはならないよ?
もう僕…限界。早くしよ…?」
潤んだ目の珀露がじわじわ目の前に近づく。
鼻先が触れるほど近い。
珀露の吐息が熱い。
心臓が飛び出しそうなほど脈打っているのも気づかれているんだろうな…
信爾は覚悟を決めて目を瞑った。
唇が触れ合い、鼓動が一際大きく跳ねる。
心臓から食道を通り、舌、唇と熱い気が流れて行くのが分かる。
くらくらと目眩がする。恋にも錯覚しそうな感覚――
「ふぅっ」
唇を離した珀露が蠱惑的に微笑む。
「まぁまぁマシな気だよね、信爾のって。もうちょっと経験は積んだほうが味わいが出るけど」
「はは…っ、全く、生気を吸われて小言言われるとは、割に合わないけど…それでも誉められたと取っていいのかな?」
「ま、好きに考えといたら?」
「…しかしもう少しマシな方法はないのか?これじゃあ…」
ふと庭から門を見遣ると、目が合った。
――真火と。
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