旅の始まり

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首に銀の鈴をつけた黒猫は身軽に屋根から降り、部屋に入って行く。 「真火さまもご一緒するそうですよ?」 襖を締めたのは美しい女。漆黒の着物に艶やかな真紅の牡丹。 髪簪にはさっきの黒猫と同じ銀の鈴がちりちりと鳴っている。 「そうか…信爾もなかなか大変だな」 はは、と笑って返すのは頼爾だ。近寄る悠羅の髪を撫で、 「悠羅、道中頼むぞ」 「はい、もちろんです」 悠羅はにっこりと頷いた。
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