贈る言葉

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「恵美、今日……俺ん家来る?」  繋いだ手にぎゅっと力がこもったのが分かった。  隣を見上げると、彼は表情を硬くしたまま、何もない地面を見つめていた。  ふうん。  それだけ思って私は答える。 「……うん」  大学で知り合った、一つ上の彼。  たまたま見学に行ったサークルの新歓で出会った。  結局そのサークルには入部しなかったけど。  一目惚れしたって猛アタックされて、付き合った。  彼のアパートに着き玄関のドアを閉めると、彼は靴を脱ぐ間もなく私を抱きしめた。 「恵美っ……!」  私をすっぽり覆う彼の胸に顔を埋めると、服に付いた柔軟剤か洗剤の清潔そうな匂いがふわっと鼻の中に入って来た。 「恵美、好きだよ、恵美……」  そう耳元で囁く声を聞きながら、私は目を閉じる。 「明良さん……」
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