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目的地は家から程近い神社。
とは言っても、まるで名ばかりのようなそのお社にあるのはお年寄り以外にはすっかり忘れられた小さな祠と見事な白梅の古木だけ。
祖父がずっと掃除をしてきていたのを今は自分が引き継いでいるのだ。
「たぶん、今日あたりかな。蕾かなりほころびかけていたし…」
今年はどうしても白梅の初花を誰よりも先に見たかった。
普段、こんな時間は誰もいないもの!きっと大丈夫よね。
冷たい風に鼻をすすりつつ、わずかな期待をこめて辿り着けば
「あ!」
先客がいる。
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