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愚図るエリックを、引きずりながら行くリチャード達を見送ると。アリスは祖父に話しかけた。
「おじいさま。それで・・・ニーナちゃんの方は、どうなってますか?」
答え難そうに、自慢のアゴヒゲを触りながらも、言葉を進めた。
「フゥム・・・彼女は、身体的外傷こそなかったが、その心は大いに傷ついたそうだ。まだ正式なものではないが。内々に、ご両親から、転校の打診があったよ。」
「・・・無理も無い。入学初日に、あんな事があってはな。」
予想はしていたが、老紳士からの返答に、彼女は悔やみを滲ませる。
「私が・・・もう少し早くたどり着ければ、こんな事には・・・」
「やれやれ、アリス。いつも口やかましく言っているのに、もう忘れたのかい?ヒーローたるもの・・・」
「反省はしても、後悔はしてはいけない。そんな暇があったなら、今困っている人を助けるべきだ・・・でしょ?おじいさま。」
「うむ。そうだ。分かっているじゃないか!」
お互い、顔を見合わせて、笑いあう。
「じゃあ、今日は。志音君のお家に、おじゃましてみます。いいよね、ナタリー!」
そう言うと、彼女は親友を振り返る。
「ええ、構わないわ。」
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