第2話

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 慌ただしく学園長に一礼し、駆け出した友を追いかける、ナタリー。  彼女達の後姿を、笑って見送った彼は。一人たたずむ廊下で、窓越しに遠くの空を見やり。独り言ちた。 「この先、何もなければ、良いのだが・・・」  学園からバスを乗り継いで、二時間ほどの所に、志音の家はあった。  着替えをして喫茶店に寄った後、ケーキを買い。訪問する時間は、午後五時。夕日が春の夜に溶け、移り変わる頃。 「ごめん下さい。」  アリスとナタリーは、その家の前に立ち、そう訪ねてみた。    今時、インターフォンも無い家も珍しく、どう対応したものか思案した末、呼びかけて見る事にしたのだ。  奥に居て、聞こえないのか。もう一度、呼んでみる。 「ごめん下さい。立花志音君は、ご在宅でしょうか?」  すると、奥の方から、トットットッ・・と。誰かが駆けてくる、音がする。  ガラッと、趣のある引き戸が開いて、小学生くらいの、少年が顔を出した。 「兄ちゃんなら、いないよ?」  その時後ろから、女性の声で、少年を呼ぶ。 「正吾、お客様なの?」 「うん、兄ちゃん。いないかって!」  今度は、パタパタパタと、床を鳴らし。姉だろうか。高校生くらいの、少女が顔を覗かせた。 「もしかして・・・兄の、大学の方ですか?」 「ええ、学園で生徒会長をしています。アリスです。」 「私は書記の、ナタリーです。」  その言葉を聴いて、少女が大げさに騒ぎ出す。 「えええっ!?お兄ちゃん、今度は何をしたんですか!!」  慌てる彼女を、アリスがなだめる。
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