第2話

7/21
前へ
/57ページ
次へ
「本日は、どうもお邪魔しました。」 入ってきた時と、同じように。二人は深々とお辞儀した。 「また来て下さいね!」 「ケーキ、ごちそうさま!次も持ってきてね!」 「こら!正吾!」  少女と弟はそう言って、名残を惜しんだ。 仲の良い二人を見ていると、つい、笑顔がほころぶ。 「全く、あいつときたら・・・どこをほっつき歩いとるんだ。」 「いえ。また今度、出直します。」 アリス達が、帰ろうとしたその時。なにやら美雪が思いついた様だ。 「ああっ、そうだぁ!もしかして、あそこに居るかも!!」  日の沈んだ公園に、遊ぶ子供達や、集う人々は誰も居ない。ポツン。と、頼りなげな街灯が一つあり。その下で、拳を振るう一つの影。  それは、時に激しく、そして穏やかに。流れ行く大河のように、連綿と練武は淀み無く続く。  永続するかと思われた、その美技は。しかし、緩やかに動きを止め。青年は後ろで立っている人物に対して、挨拶をした。 「どうも、今晩は。」 「ああっ・・・こっ・・今晩はっ!」 生徒会の事務処理があるナタリーと、別れたアリスは一人。志音がいるという、公園へやって来た。 「妹さんに、この場所を聞いてね。邪魔するつもりは、なかったんだけど・・・」 「いえ、丁度僕も。帰ろうとしていた所なので。」 そう言うと、彼は水飲み場で顔を洗い。スポーツタオルで拭いた。 「何か御用ですか。」  透き通るような。それでいて、感情の通わない声で、静かに聞く。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加