第2話

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「あの・・・えっと・・・用って言う程の事じゃあないんだけど・・・どうしてるかなって、思って。」   「心配ありません・・・でも、昨日の連中は一体・・・」  志音がそう聞くと、アリスは少し、バツが悪そうに、縮こまった。 「ごめんね。詳しい話は機密事項なの。ヒーローライセンスがあれば、大丈夫なんだけど。」 「あっそうだ!志音君も、ヒーローになれば良いんだよ!!そしたら、生徒会にも入れるし!」  一人で盛り上がる、アリスを尻目に、帰り支度を始める。  「・・・・すみませんが、僕はヒーローになる気は、ありません。」  彼女は一瞬、我が耳を疑った。 「え?・・・ヒーローに、なる気が無いの?どうして?」 「・・・皆さんの活動は、素晴しいと思いますが・・・そもそも、戦う事が好きじゃ無いんです。」  彼の意外な告白に、動揺を隠せない。 「そんな!だって、ニーナちゃんを、助けてくれたじゃない!!あれは、君にしか、出来ない事だよ!」  悲鳴にも似た、彼女の言葉を聴きながら。なお、悠然と答える。 「僕が居なくても、彼女は助かりましたよ。アリスさん、貴方が居た。」  沈黙が続く。アリスは次の言葉を捜していたが。見つからない。見当たらない。  これが本当に、あの時の彼なんだろうか・・・とすら、思われる。打ち解けない雰囲気。見えない壁が、そこにあった。 「じゃあ、あの技は?人を助けるために、身に付けたんでしょう?」 「・・・それが。分から無いんです。」 「分から・・・無い?」 「えぇ。自分は、十三歳の時に、じいちゃんに拾われて。それ以前の記憶が無いんです。」 「あの技は、誰に教わったか分かりませんが、体が覚えていたものです。あれを見て、どう感じました?」 「・・・えっと・・・」 言い淀む、アリス。午後の会議での出来事を、思い出す。 「変身もせず、人を一撃で倒す力・・・なんで、そんな事が出来るのか?自分の過去は、何なのか・・・」
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