第2話

9/21
前へ
/57ページ
次へ
「以前は、確かめたいと、思ってました。でも気付いたんです。ろくなものじゃないだろうって。」 「今となっては、過去なんて、知りたくもありません。」 「僕は只、家族の皆と笑って過ごせれば。もうそれだけで、いいんです。正直、大学へは。じいちゃんが、どうしてもって言うから・・・・行ってるだけなので。」 志音の独白に、共感しつつも。彼女は言わずにいられない。 「それでも、君は。ヒーローになるべきだよ!・・・ねぇ、知ってる?」 そう言うと、アリスはバッグから、手の平に納まる、金属体を取り出した。志音にとっては、初めて見る物だ。 「これはね、ヒーローリアクターって言うんだ。」 「私達はこれを使って、より高次元な存在と、一体になる事で、変身できるの。私の場合は、白銀の天使ヴァルキュリアにね!」 「今は、昔と比べて。オラクルリーダーさん達の力を借りているから、わりと簡単にヒーローチェンジ出来るけど。その本質は、今も昔も、変わらないの。どういう事か、分かる?」 「・・・いえ。」 興味無く、相槌を打つ志音だったが。彼女の勢いは止まらない。 「それは、魂だよ!!」 「自分の意識と、魂の求める行動が、合致する時。始めてヒーローになることが出来るの。」 「上級のヒーローになると、そこからさらに。エンゼルや、時には神様だって応援しに来てくれるんだよ!すごいでしょ!」 「でも、どんなに力が強くても、どんなに愛があっても。自分の中にある、宇宙と繋がる部分。魂の要求に答えられなければ、変身できないんだよ。」 志音を見つめ、語気を強める。 「あの時感じたの・・・・・私の中のね、魂が囁くんだ!君は、ヒーローになるべき人だって!」 「・・・・ずいぶんと、大げさな話ですね。」 ここまで、熱っぽく話してきた、アリスだが。ようやく会話の相手との、温度差に気が付く。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加