拒めない唇

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「なぁ…奈緒。 ひとつ聞いてもいいか?」 「…なに?」 しばし続いた沈黙。 私を抱きしめていた 琉惺の手に微かに 力が込められて、 まるで逃がさないとでも 言いたそうな腕が 身体に絡みつく。 「…秋人さん。 あのバスルームの メッセージ以外に 何か残さなかった?」 「えっ?」 顔を上げた私を見つめる 琉惺の瞳がやけに悲しそうに 見えて心が揺れる。 …なんで… そんなに悲しそうに 私を見るの?
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