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「あ、そんなことよりも初音に紹介したい人がいるんだよぉ。お披露目パーティなんて口実なんだよねー。早くこっちすわんなよー。そんなサラリーマンの名刺交換みたいなことしてないでさー。」
「いや、ちゃんと未来の旦那さまに挨拶して…世話が焼ける親友をしっかりお願いしておかなくちゃ…。って聞いてないでしょ!」
「あはは。」
日ごろはあんまり笑うタイプじゃないのに、私たちのやり取りを見ながら微笑んでるあなたに少しだけ目を向けた。
「さ、初音とりあえず一杯飲みなよ。ってなんならあたしよりハルくんについでもらおー。ハルくーん。出番きたよー。こっち、こっち。」
ビールの瓶を片手に、10人くらいはいるだろうほかの輪の方へ手招きするセツコ。
これは、私が思っているよりももうすでに飲んでるな、と嫌な予感を感じた。
「ハルくーん!」
周りには、あまり知った顔がいない。
と言っても私にはあまり友達がいないし、地元の割には交友関係も広くないから当然か。
恋人と呼べる存在も、もうここ何年もいない。
それをセツコは『異常だ』と、気にしてくれているのだ。
すごくお節介な、唯一の親友である。
「あ、セツコさーん。」
甘い茶色のふわふわした、今っぽいパーマの髪の毛。
人懐っこい、くりっとした瞳。
お尻にしっぽでも生えてるんじゃないかと思うほどうれしそうに近寄ってきた、ひとりの男の子。
なんか若くてきらきらしてるなーって言うのが、正直な彼の第一印象。
ふわふわもこもこの、子犬みたい。
「あ、もしかして彼女が例の初音さんですかー?」
「え?」
いきなり子犬くんの口から自分の名前が出てきて、セツコを見た。
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