風蘭

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初恋の場所はテレビの中だった。 あのポニーテールを振り乱しながら戦う姿は、小さい頃の俺も憧れの存在になった。 同じ女顔と言われてもめげ無い彼は強い。 だから多分俺もサッカーのDFになったのかもしれない。 そしてその憧れの人がゴットエデンにいた。 俺はその時の気持ちは憧れ以上だ、と彼に伝えた。 驚いた顔をしていたけど、彼は笑顔でありがとう、と抱きしめてくれた。 とてもいい香りがしたのを鮮明に覚えている。 部活終了後… 「霧野、ちょっといいか?」 風丸さんに呼出された俺は少しだけ胸が痛んだ。 鍵閉めやるからいいよ、と神童に言うと心配げに身体無理するなよ。と鍵を手渡された。 いつもの場所は、シャワールームだ。 風丸さんは俺の服を着くや否やすぐに脱がされた。 「霧野…」 興奮した様な風丸さんの声に身を委ねて身体を重ねる。 これに異論は勿論ない。 何故なら彼はきっと、俺の事が好きじゃない。 いつも行為を終えても送ってもくれないし、好きとも言ってくれない。 好きなのか嫌いなのかはっきりしない風丸さんに怒りと憎しみを毎度帰り道に湧き上がる。 「どうせ、俺を遊びだと思ってる?」 鼻の奥がツンと痛くなる。 溢れる涙を零しそうになりながら、袖口で目の端の涙を拭う。 真っ暗な河川敷の道はいつもの倍の倍静かに感じる。 身体の関係しか分け与えてくれない恋人は何と想っているのか… もう一度ウルっときた目を乱暴に拭って頬を音が高く鳴る程叩いた。
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