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俺はとうとう怒りが爆発した。
部室で忘れ物を取りに行ったある日の事…
俺は週に1回ユニフォームを洗濯しているが、うっかり部室に忘れて来てしまった。
神童に先に帰ってもらって、俺は部室へと走り出した。
「ツイてないな~」
しかも雲行きが怪しく、今にも雨が降りそうだ。
「ちょっと!やめろって、風丸!」
「大人しくしろよ、円堂」
風丸さんが円堂監督をソファーに押し倒していたのだ。
間違いない…
頭から血がサァっと引いていく。
全身に血が巡らなくなったかの様に動くことすら出来ない。
そしてようやく現実に戻ると、カバンを掴んで全力で走る事しか出来なかった。
「霧野!?どうしたんだ!」
神童を凄い速さで追い抜いて走って行く俺を戸惑った顔で追いかけてくる。
「もう…ほっといてくれ!」
泣き叫ぶ様にして家の扉を乱暴に閉めた。
やっぱり嘘つきだ。
どうせ俺のこと好きじゃ無かったんだ…
独り壁にもたれて泣き声を噛み殺した。
まるで空気を読んだかの様に空からは大粒の雨が窓を鉛の塊をぶつけたみたいに、激しく降り始めた。
ザーザー…ザーザー…
俺は独り乾き切らない瞳はやり場の無い怒りに襲われた。
初めから解っていたなら、この気持ちが恋と気付かなければ、こんな苦しい思いをしなくて済んだのに…
ピカッ
稲妻が空を二つに割る大きな音と光が一瞬、真っ暗で灯りの着いていない部屋を照らした。
…いつも貴方は俺を呼んでくれた。
初めて身体を求められた時は凄く大切な物の様に扱ってくれた。
必ずそばにいるって囁いてくれた。
なのに、なのに…
悔し涙なのか怒り涙なのか識別出来ない涙がまた頬を伝う。
「風丸さんっ…」
漏れる嗚咽を枕に押し込めて泣いた。
今までよりもうんと長い時間涙を流し続ける。
もう次は泣かないと決意して…
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