第2章 これは片思いなの?それとも私はただの性のはけ口?

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「ああ。いいよ。どこで会う?」 「この前送ってくれたコンビニに8時に」 「8時な、わかったよ」  短い会話ではあったがそれで電話を切った。  一切、正宗は私の質問に答えてくれなかった…。 なんとなくではあるけれど、切ない…。  こんな気持ちになったのは昨年、彼氏と別れる時以来だと思った。  本当は私だって辛い…。そんな事も知らずに正宗はどこかで遊んでいる…。  明日こそ…、明日こそは私自身の本名を打ち明けて、正宗の本当の名前をいくらはぐらかしても教えてもらう、そう心に決めた。    ――――そして翌日、私は仕事を午後6時に終わらせ、自宅に帰り彼に会う支度を始めた。  正直、正宗に会えるのは嬉しい。でも、彼はどうだろう。私はただの性のはけ口としか思われていないのかも……。そう考えると若干気分が下がる。  ついつい考え込んでしまったが用意はできた。 服装は、上はピンクに英語がプリントされたTシャツで、下は青っぽいミニスカートを履いた。  携帯を開き時刻を確認する。19:33と表示されている。 もう少し…。もう少しで正宗に会える。そう思うだけでも気分は上向きになった。  そして、8時5分前―――。 私は家を出た。近くのコンビニまでは歩いて数分で行ける。 そして、時間きっかりに到着した。彼の姿はまだ見えない。  それから15分程待ったが正宗はやってこない。どしたのだろう…。もしかして約束を忘れているのか…。 そう思い、私は再度電話をしてみた。  呼び出し音は鳴っているが繋がらない…。 なぜ……?  私は段々、苛立ってきた。約束すら守れない男なのか…。私は家に引き返そうとしたその時だった。 「レナ!」 と、叫ぶ声が遠くから聞こえる。 振りかえって周りを見渡すと、そこにはスーツ姿の正宗がいた。 走って来たからだろう、彼は息が上がっている。 「遅くなってごめん…」 「どうしてスーツ着てるの?」 「それは後から話すよ…。それよりどこかで休ませてくれ…」 「あ、うん。私の家で良ければ」 「サンキュ」 そして、私は正宗を自宅へと上げて休ませることにした。  
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