終章 決断

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「雄二にとって本当に好きなのはどっち?フラれた女性?それとも…私?」 少しの間があり、 「今は…今は結子の方が好きだよ」 「ほんと…?嘘ついても会った時に目を見ればわかるんだからね」 「嘘じゃないって、信じてくれよ」 「それじゃ、今からここに来て面と向かって私に告白してくれない?電話じゃ、ちょっとね…」 「信用できないってか?」 「そう…、口では何とでも言えるじゃない」 「わかったよ、今から支度して行くから三十分くらい待っててくれ」 「うん、それじゃ」  私は彼の事が…雄二の事が好き。でも、その言葉は彼が私に告白してから言おうと思っている。 ズルい女かもしれない…。でも、彼女と別れたばかりの雄二の言葉が電話じゃイマイチ伝わってこない。 だから来てもらう。  さっきの電話から三十分を過ぎたあたりで家のチャイムが鳴った。 雄二が来た!と思った。なので玄関に向かった。 私は、 「はい」 と声を出すと、 「俺だけど」 そう聞こえたので鍵を開けた。 ドアを開けるのと同時に雄二の顔が見えた。 今日は何だか表情が硬い。笑っていない。緊張しているのかな。 そう思いつつ、彼を家の中に入れた。 廊下を歩いていると後ろから、 「結子。こっちを向いてくれ」 と私の右肩に彼の手が乗った。 私は振り向くと雄二は真剣な眼差しでこちらをみている。 まさか、ここで告白? 両肩に彼の手が乗せられ目と目が合った。 その瞬間、私の心臓の鼓動が強く早く打つのがわかり、顔も紅潮しているのがわかった。 そして、雄二は話し出した。 「結子。俺、お前が好きだ!だから付き合ってくれ」 彼の本気な気持ちが私にも伝わり、胸がキュンとした。 私は、 「う、うん。私で良ければ…」 すると、雄二の表情がようやくほころんだ。 「良かったぁ…。振られるかと思ったよ」 「雄二がちゃらちゃらした態度で告ってたら振ってたよ。でも、ちゃんと私の目を見て言ってくれたじゃない。しかも、真剣な表情で。だからOKしたのよ。私も今だから言うけど雄二が好きだし」 「そっか。良かった、本当に良かった」 こうして私達の交際はようやくスタートした。この先どうなるかが楽しみ。 これからは雄二と共に歩いていく。                   
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