第1章 今までの男共とは違う彼との出会い

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 私は昨夜彼に抱かれた。 名前も知らない男に。だが、後悔はしていない。なぜなら、私にとって今までで最高の快楽を味わえたからだ。  その時、自分は酔っていたわけでもないし、ドラッグを使用していたわけでもない。ただ、街中で一人で買い物をしている時にナンパされ、たまたまいい男だと思ったからついていったまで。私は自分が尻軽女だということは自覚しているつもり。  何の因果かはわからないけれど、迫られると断りきれないこの性分。愛情の有無は関係なしに寝てしまう。  昨日抱かれた男に喫茶店で、 「名前は?」と訊かれ 「レナ」という名前を言った。私は本名までは明かすつもりはなかったので適当に思いついた名前を伝えた。本名は、武井結子という。私は相手の名前も知りたくなり、尋ねてみた。 だが、その男は俯き何も答えずただ、黙っていた。私は沈黙を破らない彼をそれ以上問い詰めることはしなかった。どうせ、一夜限りの付き合いだと思ったから。 彼は、夕ご飯を食べようと言った。ナンパされることはたまにあるがご飯を一緒に食べるということは今までになかったことなので若干、戸惑ってしまった。  私は、 「どこで食べるの?」 と質問すると、 「俺のおごりだけど何が食べたい?」 逆にそう訊かれたので、私は考えた。 「うーん…。食べ放題がいい」 ちょうどお腹もすいていたし、ストレスもたまっていたのでたくさん食べたいと思いそう答えた。 「食べ放題か。いいね。今からいこうか」 うん、と返事をした時の時間は腕時計を見ると午後6時頃だった。  店内は夕食時のせいか結構混雑していた。  店で私は、初めて来るところなので彼の後をついて肉や魚、お寿司をゆっくりと取り皿にのせた。周りを見渡すとショートケーキもあったので最後に食べようと思った。 ちなみに彼は、カルビやタン、焼き鳥数本など肉ばかり選んでいるので年はきっと若いのだろう。一体、いくつなのか。私よりは上に見えたが、服装もそうだけれど全身を見る限りとても若々しい。  さきほど店員に案内された席に座り、私達は早速肉と魚を焼き始めた。 店の中はあちらこちらで肉などを焼いているせいか、香ばしい匂いに今気付いた。それまでは緊張していたからなのかあまり感じなかった。 彼が話しかけてきた。 「レナはいくつ?」 翌々見てみると、彼は端正な顔立ちをしていた。
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