第2章 これは片思いなの?それとも私はただの性のはけ口?

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 今日は日曜日で私の仕事は遅番だった。  午後9時に退勤して途中で買ってきたコンビニ弁当とペットボトルに入ったお茶を無造作にテーブルの上に置く。  お腹は空いているがあまり食べたくない。  ふと、正宗の事を思い出す。今、彼は何をしているだろうか。また、ナンパした女を抱いているのだろうか。 そう思うと結局相手が誰であろうが関係ないと思ってしまう。  あの日から丸1週間が経つ。きっと私のことなど忘れてしまっているだろう…。  正直なところ私は正宗に電話しようかどうか迷っていた。その理由はひとつ。本当にこの番号が本人のものなのかどうか。  かけてみればわかる事なのだが、どうも踏み出せない。  シャワーを浴びてしまおうと思い部屋の隅にある引き出しから下着を取りだした。   これは確か…、正宗に抱かれた時のものだ。思い出しただけでも背中が誰かにさすられているかのようにゾクゾクっとした。  たった1回の性交だけだというのにすっかり私は正宗の虜になっているような気がした。いくら気持ちがないからといってもここまでとは……。  そんな事を考えながら浴室に入った。  それから20分程経過してシャワーを浴び終えた。  友達にでも相談してみようかと思った。今のこの気持ちを。でも、私はこの地に赴任してきてからまだ、半年しか経っていない。職場での知人は増えたけれど、身近に親友と呼べる人はいない。地元に帰れば別だけれど。  そうだ。有給使って近々実家に帰ろうかな。そしたら、美里やカズに会える。  私はカレンダーを見た。今月ももう少しで終わる。来月に休みを取って帰ろう。 ちなみに地元は札幌市で今、私が住んでいるのが旭川市の郊外。  明日は休みだし時間も午後10時を回っているので彼らに連絡するのは明日にしようと決めた。  本当の事を言える相手は彼ら2人しかいないし、もちろん親になんかは口が裂けても言えやしない。  でも、言ったにしても美里やカズは何て言うだろう。私が尻軽女だということまでは知らないはずだ。 それとも、私の高校生の頃の出来事を彼らは噂で聞いているだろうか。 そう考えていくとちょっぴり不安になってきた。 やっぱり、自分独りで正宗に連絡するかどうか決めるしかないのだろうか…。      
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