レズビアン葬

はじめにして終わり

A型の私は公序良俗に反することは嫌いで、

ふたりでトイレの個室を長時間占領する発情レズカップルなど大嫌いなのでハラハラする。

ビアンの知り合いも多いはずなのに、

恋人でもない女とこんなことをしている姿を見られたら、

なんと申し開きするのだろう？

「だめ、

いけないわ、

こんなところで」などと愚かしい紋切型のセリフを繰り返す私。

頭を冷やすため、

その界隈をぶらぶら歩いて、

それからふとアダルトショップに入る。

「道具つかったこと、

ある？」

「ない。

貴方は？」

「男とならね」

「男にも入れたの？」

「あのね・・・私をなんだと思ってんの。男が私に入れたんだよ」

「貴方ならやりかねないかと」

ひたすら事後の虚脱感に浸りながら、

夢遊病者のように歩き、

ゲイバーやビアンバーの、

男女ストリップを横目に、

ただ、キスと愛撫を暗がりに垂れ流していた。