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“Intimacy…this intimate feeling between you and me. MAHREMIYET”
彼女の家に寄った。
今は元旦那と息子が住んでいる。
高級住宅街の片隅に位置する簡素なマンションで、アメリカ人ならばさぞや調度品に凝るはずなのに、中は殺伐とした感じ。
そう、
装飾品が殆どなく、
全体をコーディネートする意欲が全く感じられない。
その佇まいはなぜか私の家に似ている。
女性同性愛者にありがちな、
と言っては間違いだろうか。
自分の居場所を作ることを拒否している感じ。
彼女の昔の写真を見た。
「情人」の母親の顔。
不思議と違和感はなかった。
青い目をしたシャム猫が居たので、
抱かせてもらった。
帰り際、
庭で「ハチドリ」を見かけた。
鳥好きの私がすかさず「あ、ハチドリ」というと、
「ハミング・バードのこと?」と彼女は木漏れ日を受けて笑った。
もう二度と見られないかと思うと、その笑顔が儚く眩しい。
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