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夏の盛りの事である。
山奥の洞穴の中に二人はいた。
男は右足を挫いていた。
女には男を背負って下山するだけの体力は無い。
二人は仲間達とはぐれて道に迷い、挙げ句、男が斜面を滑落して怪我を負ったのだった。
携帯も繋がらない山の中で既に三日が経過していた。
食料は底を尽き、僅かな水を分けあって飲んでいた。
女はここで死んでしまっても構わないと思っていた。
五年間想い続けて来た男と一緒なのだ。
悔いはない。
女「ねぇ、私達、ここで死ぬんだね・・・」
男「・・・・・」
女「私、ず~とず~と貴方の事が好きだったの・・・
気付いてた?」
男「そうだったのか!?
それなら、もっと早く言えば良かったな(笑)
俺も・・・
俺もずっと前からお前の事が好きだったんだ・・・」
女「ホントに!?」
男「あぁ(笑)
お前だけでも助けてやりたかったな・・・」
女「ううん(笑)
貴方と一緒に死ねるなんて、私、幸せだよ。
ねぇ、最後に一度だけ・・・
抱いて・・・」
男「・・・・・」
二人はうっすらと差し込む月灯りの下で生まれたままの姿になり、初めての口づけを交わした。
そして・・・・・
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