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「その話聞いたときね、ちょっと嬉しかったの。ノノちゃんのこと助けてくれて」
「助け……? だからなんの話だよっ」
しかしこれ以上は語らず席を立つ。「じゃ、わたし行くね」
すると彼も立ち上がる。「行くねってなんだよ。上野まで一緒だろ」
「ごめん。ノノちゃん図書室で待ってるから」
「あ、そう」
割り勘で支払いを済ませ、わたしたちはお店を出た。
じゃね、と短く告げ、わたしは学校へ向かって歩きだした。すると背後で彼が声を張り上げた。
「おれはお前らに仲直りしてほしいから!」
わたしは立ち止まったものの、振り返らなかった。ぐっしょりとみっともなく濡れた顔を、愛しい人に見られたくなくて。
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